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2020.07.09

コロナ禍の中の賃貸経営の考え方

1.「新しい生活様式」に対応する

2020年5月4日、厚生労働省は「新しい生活様式」を提言しました。これは、新型コロナウィルスに感染しない、させないために実践すべくライフスタイルを示したものであり、「日常生活」や「移動」、「ワークスタイル」等の場面に応じて、その内容が規定されています。これを空室対策と照らし合わせると、次のような方策が考えられます。

①「テレワーク対応物件」としてPRする
社会的に認知度が上がり、取り組む企業も増えてきたテレワーク。主に在宅で業務を行うというものですが、これに対応した物件とするのです。そしてそのためには、次のことをするのが良いと考えられます。

●インターネット無料を導入する
いわずもがな、メールのやり取りやWEB会議には欠かせないネット環境を無料で提供するというものです。なお、インターネット無料は、不動産系メディアが発表している「入居者に人気の設備ランキング」において、近年ではトップの地位を揺るぎのないものにしています。インターネット無料の設備については、多くの事業者がサービスを提供していますが、通信速度に注意を払ってサービスを選ぶべきでしょう。なぜならば、WEB会議のストレスのない快適な実施には、一定以上の通信速度が必要になってくるからです。

●「仕事部屋あり」と表現する
ワンルームに住みながらテレワークに取り組んでいる方の感想として、「一つの部屋で仕事をするとオン・オフが切り替えられない」「WEB会議の際に、プライベートな空間を見られたくない」というものがあります。したがって、テレワーク対応をウリにする複数の部屋がある物件では、「プライベートと切り分けて仕事に集中できる部屋あり」と表現するのも良いと考えられます。

②「宅配BOX」を設置する
 「新しい生活様式」では、買い物について、客で密集する空間に行くことを避けるため、通信販売の利用が推奨されています。通信販売のネックは「在宅して受け取らなければならないこと」ですが、それを解決するのが宅配BOXです。特に、通信販売を頻繁に利用する傾向のある若い世代をターゲットとする物件では、そのニーズは高いといえるでしょう。

 

2.コロナ禍ならではの賃貸住宅に関するトラブルを知っておく

新型コロナウィルスに関するトラブルとしては、給付金関連の詐欺被害や、結婚式場等、各種イベント会場のキャンセル料をめぐる事例がありますが、不動産、とりわけ賃貸住宅に関するトラブルも少なからず発生しています。

まず、引越しに関するトラブルがあります。予定日に引越し事業者のアルバイトスタッフが足りず、イレギュラーな営業形態になってしまったため、退去ができず、そのまま退去日が過ぎても物件に留まってしまった。この日数分の賃料は誰が支払うのか?というものです。

また、コロナ禍によって収入が激減してしまい、家賃が支払えなくなってしまった事例や、テナントが家主に賃料減額を要求したが交渉がなかなかまとまらず、トラブルになってしまった事例もあります。

<コロナ禍が引き起こしたトラブル事例>
入居者同士のトラブルも発生しており、その中でも「騒音や生活音」に関するものがコロナ禍の影響としては特徴的です。自粛期間やテレワークによって外出する機会が少なくなり、家にいる時間が増えたため、コロナ禍以前は気が付かなかったような隣人の生活音が気になってしまうのです。

特に、テレワークをしている人が、静かに集中したいにも関わらず、休校中で家にいる児童が騒いだりする音が耐えられない、という内容が多くなっています。「ウィズコロナ」の考え方により、テレワークを継続している人も多いことでしょう。したがって、このような騒音トラブルは、まだまだ発生する可能性があるのです。なお、次に紹介するような柔軟なトラブル解決事例は、いざトラブルが発生した際に、解決のヒントになるかもしれません。

賃貸マンションの上の階の住人、A氏の騒音が気になるというB氏。B氏はこの問題を解決したいと思い、オーナーであるC氏のもとに「音を出すのをやめさせて欲しい」と相談に訪れました。しかし、B氏の前の同室の入居者や、両隣の住人からは苦情は出ていませんでした。ここで、C氏はB氏に「あらためて費用はいらないから、空いている別の部屋に移りませんか?」と提案をしました。別の部屋に引っ越しをしたB氏は、それ以降騒音問題を訴えることはなくなり、トラブルは解決しました。

トラブル解決のポイントは、C氏がB氏を「必要以上に過敏に音に反応する可能性のある方」と認識し、問題がこじれる危険性を察知したということです。C氏は、解決のための労力やコストとの兼ね合いから、別の部屋を提供する方が良いと判断をしたのです。トラブル解決には、杓子定規な対応ではなく、当事者の性格性質を考慮した上で、結果、自身にとって最も負担の少ない方策を見極め、実行することが大切です。

2020.06.09

コロナ禍を乗り切るためのオーナー向け支援情報まとめ

※ここで紹介する支援施策内容に関する問い合わせは、各管轄省庁や機関までお願いします。

 

1.金融機関における条件変更等について(金融庁)

金融庁から各金融機関に対しては、新型コロナウィルス感染症の影響によって資金繰りやローンの返済等で困っている事業者や個人について、返済猶予等の条件変更に迅速かつ柔軟に対応するように説明をしています。

●次のような相談内容について、民間の金融機関は政府系の金融機関と協調、連携して迅速かつ柔軟に対応します。

・新規融資をお願いしたい
・既往債務の返済猶予について相談したい
・ローン等の返済猶予について相談したい
・政府系金融機関の活用を検討したい

■金融庁の相談窓口
◎新型コロナウイルスに関する相談ダイヤル
0120-156811(フリーダイヤル)
※IP電話からは03-5251-6813

 

2.不動産所有者等がテナントの賃料支払いを減免・猶予した場合の支援策について(国税庁)

新型コロナウィルス感染症の影響により、飲食店をはじめとする取引先において、入居するビル等の賃料の支払いが困難となった場合、オーナーが賃料を減免・猶予をした場合、状況に応じて次の支援策を活用することができます。

①税・社会保険料の納付猶予
税・社会保険料を一時に納付することが困難な場合は、申請することにより、原則として1年間、納付が猶予されます(延滞税・延滞金は軽減)。なお、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する税・社会保険料については、新型コロナウィルスの影響により事業等に係る収入に相当の減少があった場合において、一時に納付することが困難と認められるときは、無担保・延滞税(延滞金)なく、1年間納付を猶予することができるようになります(関係法令の成立が前提)。この場合、オーナーがテナント等の賃料支払いを減免した場合や、税・社会保険料の納付期限において賃料支払いを猶予中の場合も収入の減少として扱われることとなる見込みです。

②固定資産税・都市計画税の減免
中小事業者の保有する全ての設備や建物等の2021年度の固定資産税及び都市計画税を、売上の減少幅に応じてゼロまたは1/2とします(関係法令の成立が前提) 。また、2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上が前年同期比30%以上50%未満減少した場合は1/2に軽減し、50%以上減少した場合は全額が免除されます。 なお、この場合、不動産所有者等がテナント等の賃料支払いを減免した場合や、書面等により一定期間、賃料支払いを猶予した場合も収入の減少として扱われる見込みです。

③免除による損害の額の損金算入
法人・個人が行った賃料の減額が、例えば、次の条件を満たすものであれば、その減額した分の差額については、損金として算入が可能となります。

●取引先等において、新型コロナウィルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること

●賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保等)を目的としたものであり、そのことが書面等により確認できること

●賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するた めの復旧過程にある期間)内に行われたものであること(既に行った賃料の減免を行う場合についても同様)。

 

3.固定資産税等に係る特例措置(経済産業省)
 
収入に相当の減少があったオーナーの国税・地方税について、無担保かつ延滞税等なしで1年間、納付を猶予する特例が設けられる他、厳しい経営環境にある中小事業者等に対し、令和3年度課税の1年分に限り、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担を2分の1又はゼロとする措置が講じられます。

2020.05.07

気を付けたい敷金・原状回復トラブル

アパート、マンション等の賃貸住宅へ入居する際には、賃貸借契約に基づき、家主に敷金や保証金を納める例が多く、これらの金銭は、賃貸住宅から退去した後、家主が滞納家賃や原状回復費用(賃貸住宅の修繕費等)を差し引き、残額を借主に返還すべきものと考えられています。しかし現実には、賃貸住宅を退去した後、「家主が敷金や保証金の精算に応じない」「敷金や保証金を超える高額な原状回復費用を請求された」などのクレームを退去者が入れる、といったようなトラブルが発生しています。

1.敷金・原状回復トラブルが起こる理由
例えば、「畳替えの費用とルームクリーニング代を敷金から差し引かれた」「不注意でトイレのドアに穴を開けたところ、高額な修理代を請求された」「カーテン代等を請求された」等がありますが、これらのトラブルが発生する理由は、次にようなものが考えられます。

①原状回復の趣旨が正しく理解されていない
②退去時の立ち会いが行われていない、あるいは立ち会い時の現状確認が不十分であるか、確認したことの記録が残されていない

②については、退去時に関係者(借主、家主、管理会社、仲介業者等)の立ち会いがなく双方で壁、床、柱等の傷や汚れの現状確認をしていない場合や、立ち会い時の現状確認が不十分、あるいは立ち会い時に確認した点を記録に残さなかった場合、後で入居者にとって身に覚えのない損耗個所を指摘され、修繕費の追加負担を求められるなどのトラブルにつながりやすいのです。

2.トラブルを未然に防ぐ・解決するポイント

トラブルを未然に防ぐには、「賃貸住宅の原状回復とは、借主が居住したことによる賃貸住宅の価値の減少のうち、借主の故意・過失等、通常の使用方法を超える使い方によって生じた損耗や毀損(きそん)を復旧することをいい、入居時の状態に戻すということではない」ということを家主、入居者共に認識を持つことです。

また、トラブルを解決するためには、家主が入居者と一緒に部屋に入り、原状回復が必要だと考えられている箇所の一つ一つを確認していくことが大切です。その際、入居者は入居時の部屋の使用方法や経年劣化による損耗の箇所を説明しますが、この説明を受けた家主は、入居者の説明に理解を示すことができ、和解となるケースも多くあるのです。

2020.04.08

民法改正と賃貸経営②

③個人の連帯保証の範囲
個人が賃貸借契約の連帯保証するする際、上限額を明示することが義務付けられます。従来では、保証金額の上限についての規定がなく、連帯保証人が自己破産をしてしまうケースが多くありました。そこで、「個人が保証人になる根保証契約(保証人になった時点ではどれだけの債務が発生するか分からないケース等、不特定の債務を保証する契約)について、保証人が支払いの責任を負う金額の上限=極度額を定めなければ、保証契約が無効になる」というルールが設けられます。極度額は保証する人とされる人の間で、書面等で合意して定める必要があり、これを定めなければ保証契約自体が無効となってしまいます。

 

また、連帯保証人保護の観点から、賃借人死亡後に発生する賃料滞納等について、連帯保証人は責任を負わないこととしています。加えて、連帯保証人から請求があれば、賃貸人は家賃の支払状況や滞納額等、賃借人に関する情報を伝えなければならなくなります。
 
<参考2>極度額設定について
極度額設定については、特に法律上のルールがなく、一般的には賃貸人と連帯保証人との間で合意した金額を自由に設定することになります。では、設定する極度額はいくら位が適切なのでしょうか。これには様々な考え方があるとは思いますが、悪質な滞納者は裁判を起こして退去させなければならないケースもあります。滞納発生から明け渡しまで1年半程かかることもあるため、極度額は1年半分の家賃額程度で設定しておくと安心であるかもしれません。その場合、家賃が10万円ならば、極度額は180万円となります。
 
④賃貸借の一部、減失等による賃料の減額について
従来の民法では、賃貸借の目的物が一部消失した場合に「賃料の減額請求や解除をすることができる」との規定でしたが、改正民法においては、賃貸借の目的物の一部が、使用収益をすることができなくなった場合、「賃料の減額又は解除を認めるとともに、賃料の減額は賃借人の請求がなくとも当然に減額されること」となりました。つまり、設備などの故障により住めなくなった場合、従来は「減額請求ができる」とあったものが、「その日数は当然、減額される」という内容に変更されたのです。なお、ここでいう「使用収益をすることができなくなった場合」とは、例えば次のようなものがあります。
 
●真夏にエアコンが故障してしまい、とても住める環境ではない
●真冬にもかかわらず、給湯器の故障でお湯が出ず、風呂に入れない
●雨漏りが激しく、通常の生活ができない

2020.03.10

民法改正と賃貸経営①

1.ガイドラインから法律へ

従来より、次のような敷金や原状回復に関するトラブルは、不動産に関するトラブルの中でも、特に多く報告されてきました。

 

●賃貸マンションを解約したら、ペット特約を根拠に原状回復費用を過剰に請求された
●5年間居住した賃貸アパートを退去したら、管理会社からクリーニング代や修繕費を請求されたが、高額で納得できない
●退去時に敷金を半額返金すると聞いていたが、清掃費が追加されて返金されないという通知書が届いた

 

そこで、国土交通省は1998(平成10)年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表し(以後改訂あり)、敷金精算・原状回復に関する「指標」を定めました。しかし、これは決して法律ではありませんでした。法律ではないということは、厳密にいえば、遵守する義務はないということです(ただし、ガイドラインの内容は裁判所の判例を中心にまとめられているため、多くのケースではガイドラインの内容にそって敷金精算を進めることになります)。今回の民法改正の中で、賃貸経営に関わるものとしては、主にこのガイドラインで定められていた内容が、法律として明文化された、ということになります。

 

<原状回復をめぐるトラブルとガイドラインURL※>
※国土交通省HP内
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html

 

2.民法改正のポイント

民法改正が賃貸経営に及ぼす影響のポイントは、主に次の4つになります。

 

①敷金の取扱い
②原状回復の考え方
③個人の連帯保障の範囲
④賃貸借の一部、減失等による賃料の減額について

 

①敷金の取扱い
実はこれまで、敷金についてはあくまで不動産業界の古くからの慣習としてやりとりがされており、法律では定めがありませんでした。しかし、今回の民法改正により、法律で敷金の定義とルールが明確になり、さらに地域によって異なっていることの多い、その呼び名(関西では保証金)も統一されます。なお、敷金は改正された民法において「いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」と定められています。これはつまり、「敷金は家賃等の担保」という意味になります。そして民法改正後は、敷金は契約終了時に原則として返金」となります。ただし、契約書等において敷金の精算方法についての取り決め(例:敷引等)がなされている場合は、それが有効となるケースもあると考えられます。

 

②原状回復の考え方
「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、賃借人の原状回復義務について「賃借人の故意・過失・善管注意義務違反・その他通常の使用(常識の範囲内の日常における使用)を超えるような使用によって生じた損壊等を修復する」と規定されており、つまり「日常の使用の範囲内の劣化であれば、原状回復の義務を負わない」ということになっています。改正民法では、この内容が明文化されました。

 

<参考>原状回復の負担例
→「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より

 

≪貸人の負担となるもの≫
●フローリングのワックスがけ
●家具の設置による床・カーペットのへこみ
●壁に貼ったポスターや絵画の跡
●エアコンの設置による壁のビス穴、跡
●日照等の自然現象によるクロスの変色
●自身で破損したガラス
●寿命によって使用不能になった設備機器
●台所やトイレの消毒

 

≪賃借人の負担となるもの≫
●飲み物をこぼした等によるカーペットのシミやカビ
●引越し作業で生じたキズ
●タバコのヤニや臭い
●落書き等による汚れ
●鍵の紛失等による交換
●賃借人が掃除を怠った結果生じた換気扇の油汚れ

2020.02.10

シックハウス症候群と賃貸経営

1.シックハウス症候群とは

住居内での室内空気汚染に由来する様々な健康障害を総称して「シックハウス症候群」と呼びます。シックハウス症候群の最も大きな原因は、化学物質を放散する建材・内装材などの使用による室内空気汚染です。シックハウス症候群は、次のような様々な健康障害を引き起こします。
   
<精神・神経障害>
睡眠障害、頭痛、倦怠感、疲労感、めまい等
  
<気道・循環器障害>
咳、鼻や喉の乾燥感、鼻水、不整脈、息切れ等
 
<眼科・内耳障害>
涙が流れる、角膜乾燥、充血、ふらつき、耳鳴り等
 
<皮膚障害>
アトピー性皮膚炎、じんましん、乾燥、湿疹等

2.シックハウス症候群の原因

まず第一に、住宅に使用されている建材や家具から発散されるホルムアルデヒド等の化学物質を挙げることができます。加えて、住宅の高気密化などが進み、化学物質による空気汚染が起こりやすくなっている他、湿度が高いと細菌、カビ、ダニが繁殖しやすくなります。それだけではなく、一般的な石油ストーブやガスストーブからも一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物などの汚染物質が放出されます。たばこの煙にも有害な化学物質が含まれています。シックハウス症候群は、それらが原因で起こる症状です。人に与える影響は個人差が大きく、同じ部屋にいるのに、全く影響を受けない人もいれば、敏感に反応してしまう人もいます。なお、シックハウス症候群の原因は次の2点に集約されるともいえるでしょう。

3.賃貸オーナーのためのシックハウス対策①-化学物質対策を行う-

①改正建築基準法に定められた対策内容を知る
改正建築基準法においては、室内において化学物質(ホルムアルデヒド及びクロルピリホス)の発散による健康上の支障がないよう建築材料及び換気設備の規制が導入されています。

②JIS、JASにおけるホルムアルデヒドの等級制度を知る
ホルムアルデヒドの発散量は、原則としてF☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆、F☆で表されます。☆の数が多いほどホルムアルデヒドの発散量が少ないものになります。なお、ホルムアルデヒドに関する規制の対象外(安全なもの)とされている木材などの建材にはF☆☆☆☆などの表示がないものもあります。

③リフォームなどの際には
 リフォームやリノベーションなどの際には、工務店や設計者と十分な話し合いを行い、賃貸オーナーの希望をしっかり伝えて材料選びを行うことが基本です。今は多くのメーカーがシックハウス対策をほどこした商品を扱っています。納得いくまで調査し、建築業者などとシックハウス対策がほどこされた建材や接着剤の使用について話し合うことが大切です。そして完成後は入居者が居住するまで期間をおき、十分な換気と通風を行いましょう。

4.賃貸オーナーのためのシックハウス対策②-入居者に対するアドバイス内容を知る-

建材や家具に注意をすればシックハウス対策は十分というわけではありません。防虫剤、化粧品、タバコ、ストーブなども化学物質の発生源となるからです。さらに、換気や掃除など、日常の過ごし方のポイントも理解しておく必要があります。賃貸オーナーは、入居者からシックハウス症候群が疑われる症状が出たことを相談されたら、まず次に紹介するような「すぐにできる対策」をアドバイスすることも有効であると考えられます。

①換気を心がける
キッチンや浴室、トイレなどの換気設備を活用して汚れた空気を排気するとともに、窓を開けて新しい空気を入れましょう。24時間換気システムのスイッチは切らずに、常に運転するようにします。換気設備のフィルター清掃も定期的に実施します。

②日照を利用する
太陽光には、乾燥と殺菌の効果があります。畳・カーペット・寝具などの日光干しを行って、常に乾燥した状態にするよう心がけると、それだけでかなりの防カビ効果が期待できます。

③こまめに掃除をする
ダニやダニの死骸、ふんなどがアレルギー、ぜんそく、皮膚炎、結膜炎などを起こしたり、これらの症状を悪化させることがあります。また、どうしても日々発生してしまう食べかすやフケなどはダニのエサにもなります。したがって、ダニによる室内環境汚染を防止するためには、こまめな掃除や洗濯が大切です。掃除の最中には換気をすることも忘れずに。

2020.01.08

サブリース契約に関するトラブルを知る

1.事業者によっては、トラブルのリスクも

「知識がなくとも賃貸経営をする事ができる」「賃借人に対しての対応は全てサブリース事業者が行う」「空室分の賃料も保証され支払われる」など、不動産オーナーにとってはメリットの多いサブリース。しかし、事業者のサブリース業務に対する姿勢によっては、トラブルが発生するケースも少なくありません。

2.サブリーストラブルの類型

サブリースに関するトラブルは、次にように類型化することができます。

①勧誘に関するもの
例えば、「母に対してアパートの建て替えと“一括借り上げをするのでアパートを経営しないか”と何度断っても勧誘される」「祖母に相続税対策としてアパートを建てるようしつこく勧誘してくる」というものがあります。

②費用負担等の契約内容に関するもの
例えば、「12年前に建設業者に勧誘されてアパートを建てたことに始まり、一括借り上げ、特約システム等次々に契約や費用負担を強いられる」「シェアハウス一棟の建築契約とサブリース契約を締結したが、契約時の約束と異なる」というものがあり、中には「入居者が退去して空室が発生する度に、1~3ヶ月の免責期間を設ける」という事業者も報告されています。

③家賃の減額に関するもの
例えば、「サブリース契約を締結したが、納得のいく説明がないまま家賃保証額を下げられた」「両親が建てた賃貸アパートの賃料をサブリース会社が下げると言っており、ローンの返済も困難になっている」というものがあります。

④事業者の対応に関するもの
例えば、「アパート一棟を建てないかと誘われ土地購入と建物建築契約を締結、ローンも実行されたが事業者と連絡が取れなくなった」というものがあります。

3.主なトラブルは契約に関するもの

サブリースをめぐるトラブルの主なものは、その契約内容に起因するものです。

サブリース契約に関するトラブル事例①

-交換条件が出された家賃減額交渉-
千葉県在住、50代の不動産オーナーであるA氏はアパート建築費込みのサブリース契約をサブリース事業者B社と契約。この段階でアパート建築費のローンを組むことになるが、家賃保証により確実に一定の賃料が入ってくるため、返済の心配のなくサブリース契約による賃貸経営を開始しました。しかし、契約から10年目、B社との契約更新時にトラブルが発生します。B社がたびたび発生する空室期間の存在を理由に、A氏に支払う賃料を減額したいと請求してきたのです。この段階でローンの残債は4,800万円ほどあり、賃料が減額されてしまえばローンの返済がおぼつかなくなってしまいます。

「一定の賃料を支払ってくれることを条件にサブリース契約を結んだのに、その額が変更されるのはおかしい」とA氏がB社に訴えると、B社は「光熱費の削減のために太陽光発電設備を設置すれば減額はしない」と交渉を持ちかけてきました。実はこのタイミングで、B社は太陽光発電事業を開始していたのです。

<トラブルの顛末>
A氏はサブリース契約に詳しいC社に相談。C社のアドバイスによって、A氏は太陽光パネル設置に関する合い見積もりをとりました。結果、他社の太陽光パネルは20~30%程度安いということが分かり、A氏はB社に対する太陽光パネルの値引き交渉を成功させ、家賃減額請求もなくすことができました。

サブリース契約に関するトラブル事例②

-契約書に説明を受けていなかった項目の存在-
A氏は、サブリース会社であるB社から「所有している土地にアパートを建築して年金に加え安定した収入を得ませんか」と持ち掛けられました。B社が言うには、サブリース契約によって「30年一括借り上げ」をするので、空室があったとしても安定した家賃収入が手に入るとのこと。A氏は賃貸経営について知識はありませんでしたが、「B社に全て任せていけば良い」と考え、銀行から融資を受けてアパートを建築しました。しかし、契約書にはA氏がB社から説明を受けていなかった項目が記載されていました。それは、「8年経過後に賃料の見直しを行う」「その後は、2年毎に賃料の見直しを行う」というもの。

実際に契約から8年後、B社からの家賃減額請求が始まりました。その理由は「地域の家賃相場が下落しているので、今のままでは入居者がつかない」とのことでした。その後も、度々「空室が出たから家賃を下げる」と言われ、A氏がB社より受け取るサブリース賃料が少なくなっていきました。さらに、B社の都合や任意のタイミングで設備の交換や修繕を実施され、その費用もA氏が負担をしていました。しかも、その価格は通常の1.5倍ほどとなっていました。「このまま収入が下がり続けてしまうとローンが支払えなくなってしまう」と考えていた時、さらにB社から家賃の減額依頼があり、「これを受け入れなければ契約を解除すると」迫られてしまいました。

<トラブルの顛末>
A氏はサブリース契約に詳しいC社に相談。C社の紹介によって、サブリース会社の変更をすることができました。

2019.11.08

賃貸住宅に関するトラブルとADR

1.トラブル解決の第三の選択肢、ADR

トラブルというと、多くの方はその解決手法として裁判を思い浮かべると思いますが、ここで「ADR」という話合いによるトラブル解決の制度があることを紹介します。ADR(裁判外紛争解決手続)とは「より当事者の求める形」でのトラブルの解決を図るためにつくられた制度です。

その特徴であると共に通常の裁判との違いは、「当事者間の自由な意思と努力に基づいて紛争の解決を目指す」ということ。これによって、裁判に比べて、簡易・低廉・柔軟さをもったトラブル解決が可能になります。また、トラブルが発生した際に「覚悟を決めて裁判を起こす」もしくは「面倒ごとは嫌なので泣き寝入りをする」という両極端な二択の中間的な判断として「まずは話し合いによる解決を目指す」という選択肢を消費者がとることができるのです。

2.賃貸住宅に関するADR相談事例のパターン

賃貸住宅に関するADR相談では、主に次の両者間におけるトラブルがその事例として挙げられます。

①賃借人と賃貸人(管理会社を含む)
②建物オーナーと管理会社
③建物オーナーと物件の隣人
④入居者同士

①に関する相談事例としては「賃貸しているアパートにおいて、窓を閉めているのにも関わらず雨が差し込み、家財に被害が出てしまった。大家さんに相談をしたが、話をはぐらかされてしまって取り合ってくれない」というものがあります。

また、賃借人と賃貸人のトラブルには、敷金に関するものも少なくありません。こちらの事例としては、「特に目立った破損・汚損箇所もなかったのに、莫大な壁紙の張替料や部屋の清掃料を請求された」「修繕について詳しい説明もなく、原状回復費用として30万円もの請求がきた」といったものがあります。

②の相談事例では、「所有している賃貸アパートのリフォームをお願いしたが、管理会社がオーナーの許可なく関連会社に工事を依頼し、費用が相場の1.5倍程かかってしまった」というものがあります。このように、管理会社が賃貸オーナーの意に反する(もしくは、賃貸オーナーが把握していなかった)ことを行ったという例もあります。

③の相談事例では、「自宅の隣の土地に5階建の賃貸マンションが建築される予定であることが判明したが、8時~16時にかけて4時間~6時間程度自宅が日影になってしまうので、何とかしてほしい」といったようなトラブルがあります。

④の相談事例では、「賃貸マンションに住んでいるが、隣の部屋の入居者が連日友人を連れ込んで騒ぐので、うるさくて眠れない」といったようなものがあります。なお、入居者がトラブルに関する悩みを抱えているケースでは「最悪、引越せば良い」と考える人もおり、その場合「時間やお金がかかってしまうため裁判にまではしたくないが、引越し先を探すのも面倒なので、話合いによって迅速に解決できるならばそれに越したことはない」との思いから、ADR相談を申込む例もあります。これは、裁判と比べ簡易であるADRが当事者のニーズにマッチしているからだと考えられます。

3.<事例解説①>
喫煙と壁紙の原状回復に関するトラブル

耐用年数は6年とされているが…
一般的に、壁紙・クロスの経過年数(耐用年数)は6年とされており、6年住んだ場合は、借主が壁紙・クロスの原状回復費用を支払う必要がありません。仮に3年間住んだ場合は、張替え費用の半額を借主が負担するケースが多くなっています。一方、契約書には「室内でタバコを吸った場合は、壁紙・クロスの張替え費用を借主が負担する」と定めている場合があります。では、入居1日目にタバコを吸い、6年間吸い続けた場合の借主の負担金額はどうなるのでしょうか。

6年間住んでも、全額請求するケースも
トラブルになってしまうのは「居住した年数に関わらず、タバコを吸った場合は壁紙・クロスの張替え費用を借主が全額負担しなければならない、つまり、仮に6年間住んだとしても全額負担しなければならない」と貸主側が主張するケースです。このような場合は、借主は「どのみち6年間住んでいたのだから、張替え費用は負担しなくてもよいのではないか、タバコを吸っても吸わなくても、関係がない」とどうしても考えてしまうのです。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では
敷金・原状回復に関するトラブル解決の指針となっている国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では「経過年数を超えた物件であっても、借主はなお善管注意義務を負い、貸室に損耗を与えた場合は、例えばクロスを張替える費用(工事費や人件費)などにつき、借主負担となる場合がある」としています。つまり、いかに6年間経過しても、タバコによってクロスや壁紙に黄ばみやにおいが発生した場合(借主の善管注意義務違反の場合)は張替えに関する費用を負担しなければならない場合がある、としているのです。

しかし、ここでは「借主が壁紙・クロス張替えに関する費用の全額を負担しなければならない」とは決していっていません。やはり、どうしても借主の費用負担についてはケースバイケース、貸主側の考え方次第という要素が強くなってきます。「明確な基準がない」ということ。これは、トラブルを引き起こす大きな要因となってしまうのです。

2019.10.06

収益物件とインスペクションの基礎知識

少子高齢化が進む日本では、世帯数よりも住宅ストックが上回るようになり、さらに空き家の数も増加傾向にあり、これらが社会問題となっています。そこで、国土交通省では既存住宅の有効活用がなされない現状を改善するため、消費者が安心して既存住宅の取引を行える仕組みを整備し、既存住宅やリフォーム市場の活性化を目指しています。その施策の一つが「インスペクションの認知向上と普及」であり、2018年4月1日に施行された改正宅建業法では、物件売買や賃貸仲介時等にインスペクションに関する説明が義務化されました。

1.あらためて、インスペクションとは

インスペクションとは、住宅の設計・施工に詳しい建築士等の専門家が、建物の基礎や外壁のひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査を行い、問題の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に検査をするものです。戸建住宅はもちろん、分譲マンションや賃貸アパート、マンション等の共同住宅についても実施されます。

2.収益物件とインスペクションの関わり

収益物件とインスペクションは、次の2つの契約の場面についても関わりが出てきます。

①賃貸契約時

賃貸借契約を結ぶ際の重要事項説明等において「インスペクション実施の有無」や実施をしていれば「調査概要」を書類に記載しておき、そのことについて借主に説明しなければなりません。

②物件売買時

賃貸借契約時と同じく、売買契約を結ぶ際の重要事項説明等において「インスペクション実施の有無」や「調査概要」、「インスペクション実施者あっせんに関する事項」について確認をする必要があります。

3.収益物件でインスペクションを行うメリット

収益物件におけるインスペクションでは、次に紹介するメリットがあります。

①収益物件の買主が行うメリット

●欠陥アパートをつかむリスクを減らせる(契約前であれば、購入の中止ができる)

●建物のメリットとデメリットを知った上で購入できる(契約する場合でも、安心感と納得度がある)

●建物の本質的な性能が分かる

●リフォームや修繕に「いつごろ」「どの箇所に」「ど のくらい」費用がかかるのかが分かり、事業収支計 画を正確に立てることができる

②収益物件の売主が行うメリット

●引き渡し後のトラブルを回避することができる(引き渡し後に生じた問題の責任の所在が分かる)

●エリアで競合する物件との差別化が図れる

●購入希望者に安心感を与えられる

③賃貸経営上のメリット

●入居者にとって安心感のある魅力的な物件を維持できる

●外観や設備品質の維持により家賃の値下がりを防ぐ

●不適切な管理状況に気づき、修正できる

なお、ここで挙げたメリットは、裏を返せば(インスペクションを実施しなければ)リスクにもなってしまう事項であると言えます。

4.収益物件におけるインスペクションのポイント

収益物件におけるインスペクションでは、「新築物件」「中古物件」によって次のおさえておきたいポイントがあります。

①新築物件におけるポイント

●発注した通りの建物が建てられているかを確認する

●施工品質を確認する

●室内は各階において1~2室程度調査をするのが良い(木造2階建て程度の場合)

●着工前にインスペクションの依頼を行い、建築途中 から完成まで、複数回実施することも有効

②中古物件におけるポイント

●原則として居住者への配慮と事前通知が必要

●インスペクションの実施日が決まれば、エントランスでの掲示や各戸ポストへの投函等で周知をする

●できれば検査をする人に身分証明書を携帯してもらう

●基本的には空室のみの検査となる

●満室時は建物外部、共用部のみの検査でも実施しておく方が良い

なお、共同住宅では床下や小屋裏の内部の検査は注意が必要です。共同住宅において床下は隣室と繋がっていることも多く、空室から床下へ潜って検査をしていき、隣室の床下付近まで行った際、物音で隣室の人が驚いてしまうということがあるのです。したがって、そのようなことがないように、共同住宅で床下や小屋裏を検査するのであれば、事前に他の部屋の住人にもその旨を周知しておく必要があります。

5.既存住宅インスペクション・ガイドラインについて

国土交通省は、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を公開しており、このガイドラインにはインスペクションの基本的内容が説明されています。インスペクションを実施する事業者はもちろん、これを依頼する側も、一度確認をしておくのが良いでしょう。

<ガイドラインにおける掲載内容一例>

●ガイドライン策定の目的と考え方

●インスペクションの内容

●インスペクションの検査項目

●インスペクションの検査方法

●インスペクションの検査手順

●インスペクション業務の受託時の注意点

2019.09.04

DIY型賃貸借の基本とトラブルの防止について

1.DIY賃貸とは

DIY賃貸とは、賃貸物件でありながら、借主がDIYをすることのできる賃貸借契約やその物件を指します。通常では、例えば入居中に壁を自分好みに塗ったり、飾り棚を付けたりと、いくら様々なDIYを行っても、当然のことながら退去の際には元通りに原状回復をしなければなりません。しかし、DIY賃貸においては、退去時の原状回復義務をなしにできる場合がある等、借主がDIYを楽しむことができるように配慮がされています。 なお、実施されるDIYについては、借主自らが実施する場合もあれば、専門業者に発注する場合もあります。

2.DIY賃貸のメリット

DIY賃貸における貸主、借主双方のメリットは次になります。

<貸主のメリット>
●修繕をせず、現状の状態で貸せる
●物件への愛着から長期入居が見込まれる
●明渡し時に物件の内装等の質が向上している可能性

<借主のメリット>
●自分好みに改修ができる
●原状回復義務をなしにできる場合がある
●工事代金を負担する代わりに賃料が安め

3.国も後押ししているDIY賃貸

全国的に空き家が増えていると共に人口減少社会に突入している状況の中、中古住宅流通が社会的な課題となっています。そこで、空き家活用や中古住宅流通促進のため、個人所有の住宅の賃貸住宅としての流通を促すべく、国土交通省ではDIY賃貸の普及に取り組んでいます。

取り組みの内容としては、DIY賃貸による契約当事者間のトラブルを未然に防止する観点から、平成28年に『DIY型賃貸借に関する契約書式例』と、活用にあたってのガイドブック『DIY型賃貸借のすすめ』を作成しています。また、DIY賃貸により大規模な工事を行う場合や転貸借(サブリース)物件でDIY賃貸を行う場合等、様々なDIY賃貸の実施方法があることを踏まえ、平成30年に『DIY型賃貸借に関する契約書式例』を改定すると共に、『家主向けDIY型賃貸借の手引き』を作成しています。

<国土交通省HP>http://www.mlit.go.jp/

4.貸主の「DIY賃貸の手順」

貸主からみたDIY賃貸の手順例としては、下記のようになります。

STEP1:物件募集・事前協議
●DIY可能物件として入居者募集
●DIY工事内容や原状回復等の取り決め事項について借主と協議※

STEP2:契約
●賃貸借契約書を取り交わす
●借主が希望するDIY工事の内容が記載された申請 書に対し、承諾書を交付する
●合意書を取り交わす

STEP3:DIY工事
●立会い確認
●DIY工事の予定箇所を写真に撮る等で保存する
●DIY工事が申請書通りの内容かどうか確認する

STEP4:入居中の管理/入居中のDIY工事
●DIY工事箇所以外の管理・修繕の実施(一般的な賃貸借契約と同様)
借主が入居中にDIY工事を希望した際はSTEP1の※へ

STEP5:明渡し時
●立会い確認

なお、契約手続きと賃料の流れは下図のようになります。一般的な賃貸借契約の流れと比較して、その特徴をおさえておくのが良いでしょう。

5.DIY賃貸に関する取り決めのポイント

例えば、「入居者が手を加えて良い範囲はどこまでなのか」、「どのラインから原状回復の責任範疇となるのか」等をしっかりと契約時に決めておかなければ、退去時にトラブルとなってしまう可能性があります。したがって、DIY賃貸においては、特に次の内容について、しっかりと取り決めをしておく必要があります。

①所有権について
DIYでは、例えば貸主の所有物に装飾や木材等を付けたり、一部分について改修をしたりするため、「工 事をした部分に関する所有権が貸主と借主のどちらにあるのか」について、貸主と借主の合意のもと取り決めておきます。なお、DIY工事によって住宅と一体となり、不可分な部分(例:壁に塗料をぬった場合や一体となった設備)については、その所有権は一般的に貸主が持つこととなります。

②明渡し時の収去と原状回復について
まず、DIY工事部分について明渡し時に残置するのか、それとも撤去するのかを取り決める必要があります。残置する場合は、原状回復義務はなくなると考えられますが、工事の影響で本来の設備の機能が失われてしまっているような場合(例えば、コンロが使用できなくなっている等)は、その分の補修を借主に求めるのかどうかを取り決めておかなければならないでしょう。また、DIY工事部分を撤去する場合は、原状回復義務が発生するのかどうか、原状回復義務をありとする場合はどこまでの原状回復を求めるのか等も取り決めておく必要があります。

③精算について
DIY賃貸では、工事費用は借主負担で行う場合が多いですが、貸主に費用請求をする場合もありますので、費用精算の有無についても、念のため取り決めておくのが良いでしょう。

④施工について
DIY工事の際に、物件や第三者に損害を与えてしまった場合の責任の所在を明確にします。

⑤管理・修繕について
入居期間中の管理・修繕を誰が行うのかも、明確にしていくと良いでしょう。


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